|

株式会社佐藤住建 常務取締役 佐藤実
木造建築物で耐力壁は筋違や構造用合板で構成された壁で、建物に作用する地震や風の力(水平方向力)に対して建物が揺れたり倒壊するのを防ぐための壁です。そして耐力壁はバランスよく配置することが大切です。なぜ「バランスよく配置」が必要なのでしょうか。
図のような建物に地震の力は建物の重心(重さの中心)に作用します。その地震力に対して耐力壁の配置によって決まる剛心(強さの中心)により建物が揺れたり倒壊しないよう抵抗します。重心と剛心が同じ位置にあれば建物の抵抗する力は強く、耐力壁の力を十分に発揮できます。しかし耐力壁の配置により重心と剛心がずれていると建物はねじれて抵抗力は低くなります。この重心と剛心のずれが偏心距離でずれる割合が偏心率となります。(建築基準法では木造住宅の偏心率は0.3以下と定義付けています)

偏心率の計算方法は複雑なため、告示(第1352号)「木造建築物の軸組の接地」に基づいて梁間方向、桁行方向それぞれの両端1/4部分の存在壁量(実際に配置する耐力壁)と必要壁量を求めその比率(壁量充足率)が0.5以上であることを確認する方法が一般的です。
耐力壁はバランスの他に使用する部材、接合方法なども注意が必要です。木造在来工法で一般的に耐力壁と言えば筋違を使用していますが、筋違耐力壁の場合、仕口金物の取付けは壁倍率を考え適切な物を使用することが大切です。向きについては建物が水平方向から力を受けた場合どのように抵抗するかを考えて配置する必要があります。そして最も大切なことは筋違を柱と土台、梁、桁など横架材の中にしっかりと取付けることです。先日もある建築現場で図のような筋違の取付けを見ました。これでは筋違の抵抗力は発揮できません。しかし筋違を梁まで伸ばしても立ち過ぎていてはこれもまた筋違の抵抗力は発揮できません。耐力壁は1:3以下のバランスで筋違を取付けてください。

次に構造用合板など面材による耐力壁についてです。面材耐力壁は筋違のように向きが関係なく水平力に対して面で抵抗します。しかし面材の取付けには注意が必要です。面材耐力壁には大壁造と真壁造があり配置する場所によって適切に使い分けが必要です。大壁造耐力壁は面材を柱、間柱及び土台、梁、桁など横架材に釘とめするものです。真壁造耐力壁は受材タイプと貫タイプがあります。受材タイプは柱、間柱及び土台、梁、桁など横架材の内側に受材を取付けその受材に面材を釘とめします。面材を柱、間柱及び土台、梁、桁など横架材の内側に入れなければいけません。
実はこの2種類の耐力壁について誤解が多く理解をしないまま面材を取付け「耐力壁」としていることがあります。具体的には、建物外周部は大壁造耐力壁で問題ないのですが、室内面に面材を取付ける場合、床や天井で面材が切れてしまうため大壁造耐力壁としてみることはできません。よって室内側は真壁造耐力壁として施工することになります。
(詳しい施工方法は住宅金融公庫木造住宅工事共通仕様書を参考にしてください) |
1> 2> 3> 4> 5> 6> 7> 8> |
|
|
株式会社M's(エムズ)構造設計
|
〒951-8061 新潟県新潟市西堀通3番町804-1 1005号
|
TEL:025-226-8118 FAX:025-226-8117
|
|
|
|
|